デイトレードやスイングトレードといった短期売買において、とても重要だと言われる「資金管理」、普段のトレードでどれほど意識しているでしょうか?
「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」という兵法の格言がありますが、株に限らず、先物、為替(FX)、原油、債券など、”市場取引”される金融商品としてのリスク、それから、”スイングトレード(短期売買)”ならではのリスクを知ることは、株式投資をする上でとても大切です。
そして、そのリスク対策のために、しっかりと身に付けたいのが、資金を管理する能力「資金管理」と呼ばれるものです。
「資金管理」とは?
資金管理とは、物凄くザックリ言えば、お金の使いすぎを防ぐための管理術ことです。
株式投資、強いてはスイングトレードは、勝ったり負けたりを繰り返しながら、年間収益プラスを目指していく手法になりますが、時には、連続で負けてしまうこともあります。3連敗なんてザラですし、10回近く連続で負けてしまうケースも稀ですが出てきます。
もし、掛け金や負け金を適当に決めていたらどうなるでしょうか?なんのルールも設けずに、好き放題に投資をしていたら、10連敗する頃には資金は半分以下になってしまっているかもしれません。
気付い時には資金が半分になっていた…、破産していた…、なんてことにならないように資金管理を頭に叩き込みましょう。皆さんが耳にタコができるくらい聞いた事のある「損切り」は、資金管理方法の一つです。
資金管理のポイント1「損失コントロール」
一般的にトレードに関する書籍では、「含み損が、運用資産全体の2%に達したら損切りするのが良い。」と説明されていることが多いです。ここでは、細かい説明は省きますが、この割合を超えた条件に設定すると、連敗した時に撮り返すのが困難になるからと言われています。
どういう事か、300万円で株式投資を始めたAさんを例にして、もう少しご説明します。
(例)初期投資300万円ではじめたAさん
この2%ルールに当て嵌めると、Aさんが一度に失っても良い金額は、(300万円×2%=6万円)で、6万円ということになります。では、1単元20万円の銘柄を購入した場合、株価は何%下落したら損切りしなければならないでしょうか?
答えは、6万円÷20万円=30%です。
30%下落と言えば相当な暴落です。値動きの激しい銘柄を選ばない限り、いきなりマイナス30%になることは稀でしょう。軍資金300万円のAさんにとって、20万円の銘柄は、健全で適切な量だと言えそうです。
では、1単元でなく、3単元・4単元買ってしまったら?
資金管理のポイント2「ポジションサイジング」
保有株式資産比率のことを、トレード用語では「ポジションサイジング」、「ポジションサイズ」と言ったりしますが、リスクを管理する上で、とても重要なのが、「どれだけ株を買うのか?」という部分です。
もし、1単元20万円の株を3単元…4単元と増やして買ってしまったら、どの程度の株価変動で、損切り目安の2%に達してしまうでしょうか?
3単元だった場合は、6万円÷60万円=10%です。
4単元だった場合は、6万円÷80万円=7.5%です。
10%程度の下落なら、特別な悪材料がなくても起こり得る値幅です。1日で10%動くことは稀ですが、数日あれば十分に動く可能性がありますね。
銘柄によって、動きやすい銘柄、動きにくい銘柄がありますので一概には言えませんが、資金300万円でスタートしたAさんが、60万円分株を購入するのは、少々リスクが高いと言えます。相場が荒れたら、もしかしたら、理不尽な損切りをする破目になるかもしれません。
株初心者さんにありがちな失敗
株初心者さんにありがちな失敗の一つに運用資金に対して、株を持ち過ぎているということがあります。
まだ、余力があるから大丈夫だと思って、株を買い過ぎてしまった経験はありませんか?
株式投資をはじめた頃は、安い株を選んで恐る恐る投資するのですが、慣れた頃にありがちなのが、株を買い過ぎてしまうことです。
慣れてくると、どうしても、もっと勝ちたいという衝動から、単元株を増やしたり、値がさ株(1単元が高い株)に手を出したりして、ポジションサイズを大きくしてしまうものです。
また、人間の欲深さって本当に恐ろしく、”負けが続く”と顕著に現れます。「やばい!損しちゃった!負けを取り戻したい!」という感情に支配されると、人間は厚く張りたくなってしまいます。
ほとんど余力が残らないような運用方法をしている方は、資金管理という面から見ると非常にリスクの高い投資をしていることになりますので、自身のトレードを見直すことをお薦めします。
資金管理のポイント3「ボラティリティのコントロール」
「ボラティリティ」とは、値動きのブレ幅を表すパラメータのことです。
ブレ幅が大きい時は、「ボラティリティが大きい(ボラが大きい)」、ブレ幅が小さい時は、「ボラティリティが小さい(ボラが小さい)」と言われ、ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)という指標で確認することもできます。
市場は残念ながら安定したリズムで動いてくれません。何日も小幅な動きを繰り返していたと思ったら、突然、大きな動きをすることもあります。
また、銘柄ごとに値動きの大きさが違います。時価総額や発行済株数が大きな東証1部の主力株は、一般的にボラティリティは小さく、ジャスダックやマザーズの新興株は、一般的にボラティリティは大きいのが特徴です。
普段、主力株でトレードされている方が同じような感覚で新興株に手を出すと、ボラの大きさで火傷することになります。新興株に手を出す時や値動きが荒い時期は、単元数を減らすなどしてリスクをコントロールすることが必要になります。
嵐の日に漁に出る漁師はいない
度々、相場は海に例えられることがありますが、相場も海と同じで、穏やかな波の日もあれば、大嵐が訪れることもあります。でも、あまり意識している方は少ないように思います。
- ・今日は相場が荒れてるから、いつもよりポジションサイズを少なくしよう。
- ・この銘柄は、値動きが激しい新興市場の株だから、1単元だけにしよう。
- ・決算前・重要な経済指標発表前だから、一旦ポジションを解消しておこう。
- ・アメリカの大統領選が近いから、様子を見ることにしよう。
といった具合に、ポジションサイズを調整できるようになると、リスクをよりコントロールすることができます。これまで全く気にしてこなかった方は、少し意識すると良いと思います。
決算前・重要な経済指標やイベント前・地政学リスク発生・海外市場の急変などが生じた時は一部を手仕舞いしたり、時にはトレードをやらないという冷静な対応も、資金を効果的に守るためには必要な判断だと思います。
相場状況は突発的に変化することが多いため、判断は難しいかもしれませんが、既に紹介したATRや、恐怖指数と呼ばれるVIXという指標がありますので、こういった指標をベースに判断するのも良いと思います。
資金管理ができないのは「己の弱さ」にある。
株やFXで失敗する典型的なパターンは、きちんとした資金管理方法を知らずに、あるいは、資金管理方法は知っているけど守れずに自滅していくというものです。
私が投資(投機)を10年以上続けてきて、つくづく思うのは、株式投資における失敗は、「良い銘柄を選べないこと」や「売買タイミングが適切でないこと」による失敗ではなく、運用資金のマネジメントを疎かにしたことによる失敗が多いということです。また、この足枷を外すのは、非常に強いメンタリティが必要になります。
資金管理を甘くみると痛い目に合うことも!?
デイトレードやスイングトレードといった短期売買は、月に何度も銘柄を取っ替え引っ替えしながら売買するため、長期運用よりも、当然、売買回数が増えていきます。
売買回数が増えれば、当然、それだけ負けトレードも増えますので、損を確定させるという嫌な決断を迫られる回数も増えます。その都度、正しく、損切りできるか? 負けが続いても、適正なポジションサイズを守れるか?という、嫌な決断の繰り返しをしていくことになります。
短期売買においては、意思の弱さは取り返しのつかない敵になりますので、私は資金管理ルールを守らないと警察に捕まる。(苦笑)くらいの強い戒めを持ってトレードに臨むようにしています。
スイングトレードブログ設立理由にも書きましたが、私は株をはじめた当初、リスク管理・資金管理が出来ていなかったため、相場から退場した経験があります。もし、あなたが既に株式投資で資金を失っているとすれば、その理由は、資金管理にあるかもしれませんので、トレードする時は、いま以上に気にするようにしてみてください。
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