拡大を続ける終活市場
少子高齢化の続く日本において、近年急速に市場拡大を続けているのが「終活市場」。
終活とは、「人生の終わりのための活動」の略語で、人間が自らの死期を意識して、人生の最期を迎えるにあたって様々な準備や、これまでの人生の総括を意味する内容です。
生前のうちに自身の葬儀や墓の準備や、残された家族に迷惑が掛からないように生前生理、または円滑な遺産相続を進める為のエンディングノートや遺言の計画を立てておく事が主な内容となっています。この「終活」という言葉自体は、2009年に「週刊朝日」から生み出されたもので、2010年以降は「終活本」などの関連書籍が幾つも出版され、大ヒットしました。今や「終活」は新しい文化の一つとして根付いていますね。
団塊世代の現役引退で終活市場は急拡大
現在の日本では、団塊世代が大挙して現役を引退しており、2025年には75歳以上の後期高齢者となるそうです。それに伴い、4人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎える事となります。
その為、「医療」や「介護」、「福祉」といった分野は今後数年に渡って重要なテーマとなって行く事が予想されますが、よりビジネスライクな視点としては、「終活サービス」にも大きなビジネスチャンスが到来するのではないかと考えられていますね。
近年は認知症を患う高齢者が増加傾向にあり、特にエンディングノートや遺言、自身の葬儀や財産分与などの方法を事前に親族へ伝えておく事は早い段階で行うべき、との風潮もあります。また身辺の整理を早めに行う事で、精神的にも身軽になりますので、残りの老後を楽しもうと言ったポジティブな思考も出来る事から、「終活」を明るく捉える方が増加しています。
また、昨年他界された樹木希林さんが生前に徹底した「終活」を行った事で大きな話題となりました。前述の通り、現在は著名人の影響で終活は「人生のエンディングを考えることを通じて”自分”を見つめ、”今”をよりよく、自分らしく生きる活動」としてポジティブに受け取られ始めました。今後、団塊世代の方が多く「終活」を強く意識される事で、この市場は急拡大するのではないかと予想されています。
そこで今回は、「終活」に関連した事業を展開する企業の中でも、比較的スイングトレード向きな小中型株を中心にピックアップしたいと思います。
スイング注目株・終活関連銘柄
【2438】アスカネット |
個人写真集製作や事前の遺影撮影、加工などの終活関連事業を展開。遺影バンクの利用者も増加中。 |
【2485】ティア |
名古屋を地盤に葬儀会館を展開しているが、形式的な葬儀だけでなく故人の要望に沿った運営を行う。 |
【6025】日本PCサービス |
終活に関連したデジタル遺品サポートサービスを提供。故人が使用していたPCデータの取りだしや削除を代行。 |
【6184】鎌倉新書 |
葬儀関連ポータルサイト「いい葬儀」やヤフーと提携した「Yahoo!エンディング」などを運営。 |
【9726】KNT-CTホールディングス |
傘下のクラブツーリズムで「終活バスツアー」など展開。 |
終活サービスは上記以外にも【8267】イオンや【4689】ヤフーなどの大手企業も参入していますね。
意外に短い「健康寿命」で終活需要は急拡大
厚生労働省が発表したデータに拠ると、日本人の平均寿命は男性が80.75歳で女性が86.99歳と長寿社会ですが「健康寿命」はそれよりも大幅に短いとされます。健康寿命で考えた場合、現在の団塊世代が後期高齢者となる過程で「終活」は更に強く意識される事でしょうし、市場は急拡大して行く事が予想されます。
自分が元気な内に身辺の整理を行い、残された遺族に迷惑を掛けないようにする取り組みは、孤独死といった社会問題の解決にも繋がる事でしょう。
「終活サービス」の市場は今後数年に渡って需要増加が見込まれています。現在上場している企業以外でも、今後新規IPOとして上場する企業が増加する可能性もあるかもしれませんね。
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