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スイング注目株・自動運航船関連銘柄とモーダルシフト化

スイング注目株・自動運航船関連銘柄とモーダルシフト化

現在多くの分野で人手不足が社会問題化していますが、物流業界はより深刻な状況です。その中でも国内産業の基礎物資輸送の要でもある「内航海運」で人手不足により事業継続が難しい事業者が増加しているそうです。

船舶画像

「内航海運」は日本国内の港から港へ人やモノを運ぶ海運業者です。鉄鋼や石油製品、セメントを始めとした国内産業基礎物資輸送の約8割を海の物流が支えている事になります。災害発生時などは陸路の代替輸送を行う他にも、環境保全の意識の高まりから最近は「モーダルシフト」の受け入れ先としても大きな注目を集めています。

■深刻な船員の高齢化 過半数が50歳以上

内航船員の7割以上を占める貨物船の船員は、50歳以上が50%、60歳以上が28%も占めているそうです。一方、30歳未満の若手船員は16%のみ。内航船員は経済安全保障上の観点から日本国籍の船員しか認められていない事も、人手不足に拍車を掛けている原因の一つです。

また、航海士や機関士になるには国家資格の海技士免許が必要で、船の大きさや航行区域に応じた等級が必要です。4級の資格を有していれば、ある程度大きな船の船長になれますが、免許取得には乗船履歴などの条件が必要となります。

船員の高齢化や船員の人手不足により、海難事故も増加しているそうです。海上保安庁が把握している過去5年間の海難事故の原因の約2割が「見張り不十分」「操船不適切」など人員不足が原因となっており、「船体機器の整備不良」も含めれば、人為的要因が7割以上を占めているそうです。

■モーダルシフト化への意識の高まり メリット・デメリット

物流業界で貨物や製品の輸送をトラックから鉄道・内航船などに切り替える「モーダルシフト(輸送手段の転換)」が環境保全の観点からも注目を集めるようになって来ました。

▼モーダルシフトメリット

二酸化炭素(CO2)排出量の削減
遠方地域への輸送コスト削減
一度に大量の輸送が出来る為、人員削減に繋がる

▼モーダルシフトのデメリット

トラック輸送に比べ時間が掛かる場合が多い
駅や港で積荷の積み替えが必要
船舶なら天候、鉄道ならダイヤ乱れなどで遅延確率の上昇

トラックに比べて一度に大量の輸送が可能で、CO2の削減やトラックドライバーの人手不足、長時間労働などが社会問題化した事で、近年モーダルシフト化が大きな注目を集めており、多くの企業が着手を始めています。

上記のようなメリットやデメリットは存在しますが、長距離は大型輸送(船舶・鉄道)で行い、近距離は小型輸送(トラックなど)で行うのが最も効率的です。特に人手不足やエネルギー問題を抱える日本にとっては物流業界の効率化、モーダルシフト化は直ぐにでも対策が必要な分野と言えそうです。

■自動運航船関連株は「国策銘柄」

例えば自動車の分野で「自動運転」は話題のテーマ性でもありますが、上に挙げた人手不足やモーダルシフト化への意識の高まりから、海運業界でも「自動運航船」への注目度が高まっています。

国土交通省が注力している分野に生産性革命「i-Shipping」があります。IoTやビッグデータ、人工知能(AI)などを活用した船舶用機器の技術開発を支援する取り組みです。

その中でも注目なのが「自動運航船」で、ICT(情報通信技術)を活用して、遠隔による操船支援や見張りの自動化、機器故障の予知・予防などの機能を有した船舶の事。陸上から操船を支援する指示を受けて、海図に載る障害物や、氷山など海図に載らない障害物、航行中の他の船舶との衝突を回避する事が出来るそうです。既に実証段階に突入しており、2025年までの実用化を目指しているそうです。正に国交省が先導する「国策事業」と言っても過言ではないでしょう。

■スイング注目株・自動運航船関連銘柄

国交省が後押しする実証事業は、「自動離着桟機能」「遠隔操船機能」「自動操船機能」の3分野で行われています。2018年は下記に挙げられる企業が実証事業プロジェクトを実施する企業として決定しています。

「自動離着桟機能」

  • 【7003】三井E&Sホールディングス
  • 【9104】商船三井

「遠隔操船機能」

  • 【3105】日清紡HD
  • 【6814】古野電気
  • 【7721】東京計器
  • 【9412】スカパーJSA
  • 【9432】NTT
  • 【9437】NTTドコモ
  • 【9101】日本郵船

「自動操船機能」

  • 【8053】住友商事
  • 【6302】住友重機械工業
  • 【7011】三菱重工業

国交省が後押しするプロジェクトだけに、「自動運航船」に関連した企業や銘柄の裾野は拡く、他にも様々な分野で注目の銘柄が存在します。その中でも個人的にチェックしておきたい銘柄をピックアップしてみました。

スイング注目株・自動運航船関連銘柄 【6637】寺崎電気産業

寺崎電気産業

時価総額:14,203百万円
年初来高値:1,750円(18/01/25)
年初来安値:1,042円(18/10/11)

ビッグデータを活用した船舶機関プラント事故防止による安全性・経済性向上手法の開発に参画。

スイング注目株・自動運航船関連銘柄 【6591】西芝電機

西芝電機

時価総額:5,512百万円
年初来高値:204円(18/06/18)
年初来安値:138円(18/10/29)

船舶用電機の最大手で、発電装置や制御システムに強みがあります。

スイング注目株・自動運航船関連銘柄 【8023】大興電子通信

大興電子通信

時価総額:8,363百万円
年初来高値:1,597円(18/01/22)
年初来安値:541円(18/08/21)

船舶IoTサービスを手掛けている為、物色人気が波及し易い。

既に小型船舶などには「自動操舵装置(オートパイロット)」が取り付けられていますが、これは船の進む包囲を制御するだけの仕様です。「自動運航船」は環境保全やエネルギー、人員コストの問題を一気に解決出来る可能性のある分野です。官民一体となって取り組む必要がある事業であり、国交省が先導する所謂「国策事業」でもあります。関連銘柄への裾野は広くなりそうですね。

「国策事業に売りなし」の格言通り、今後の動向には逐一チェックを入れておきたいですね。

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